SIXTY FORTY FABRIC
SIXTY FORTY FABRIC
服の外側から風雨を防ぐ止水性と、
内側の湿度分を外側に放出する透湿性を両立したSIXTY FORTY FABRIC
SIXTY FORTY FABRICが世にあらわれた約50年前といえば、衣類に使われる化学繊維はまだ珍しく、天然繊維が一般的でした。
たとえば、綿、麻、silkなどの織物、または革などが主に使用されていました。
当時は、雨などの外部から水の浸入を止めるために、オイルレザー、ビニールをはったコットンなどを用いて雨を防ぐ方法がとられました。
しかし、これらの素材にはその止水性を高めるほどに通気を遮断し、発汗の放出を妨げ、不快な蒸れを発生させるマイナス面がありました。
天気の良い乾燥した状況や、高温多湿には不向きとされたのです。
この不快な蒸れと雨風をしのぐという相反する作用を衣服の性能として両立させようと考えられたのが、SIXTY FORTY FABRICです。
水蒸気より大きく、水滴より小さい通気性をもち、汗は発散するが雨を通しにくい素材。
本来、衣類における発汗にたいしては、その風合い肌ざわりなど、
綿やシルクといった天然素材が高級衣料品ほど、多く好まれて使用されています。
ポリエステルなどを主体とした機能的な吸水速乾機能素材が多く開発された現代においても、
天然植物である綿の持つ人へのやさしさ、自然の吸水性など、その優位性は不変といえます。
その綿を横糸に、それも少し太めの30番糸、そして縦糸には細めの70dのナイロン糸で横糸の綿糸を包み込む様に織り上げるまるで鎧を着た綿糸のような繊維によって、画期的な性能をもった生地が誕生したのです。
乾燥した状態では、横糸の綿は変化せず一定の通気性を保ち、衣服内の発汗による湿度をその浸透性によって外側に放出させ、快適な状態を維持します。
雨にあたると、外側から表面のナイロンをすりぬけてきた水分が綿糸に吸収され、
綿糸は水分を多量に含み膨脹して太く変化します。
綿糸の膨脹により外側を丈夫なナイロンで覆われた織物としての密度がさらに高まり、
それ以上水を通す事を妨げます。
雨天には自らが膨脹して高密度になり雨を防ぎ、
乾燥時は元に戻り、湿気を逃がす程度に低密度に戻る。
「コットン60%×ナイロン40%」だからこその、なせる技です。
雨の日も晴れの日も、その特徴的な機能を両立させる事により、天候の変わりやすいアウトドアウエアの素材として画期的な大発明でした。
天然素材の綿と科学繊維のナイロンの融合。
当時、沢山のメーカーがこの機能に着目して、数々のマウンテンパーカーなどのアウトドアウエアーが生まれました。
それから約50年後の現代では、ウレタン等の科学素材をコーティングして高耐水圧でありながら、分子レベルで蒸れの原因である水蒸気を放出する透湿防水という超高機能生地素材が沢山開発され、今にに至ります。
その優れた透湿防水性については、過去のSIXTY FORTY FABRICの比ではありません。
最新のアウトドアウエアにおける、命を守る素材としてその性能には目をみはるものがあります。
しかし、そのような科学技術が無かった50年前に、雨、発汗という同じ水でありまがら、
その必要性にあわせて時には水を防ぎ、時には汗を放出すという矛盾した機能を、
天然の綿がもつ特性を利用して実現する。この機能によってどれだけ当時の登山家 冒険家達へ恩恵をもたらした事でしょうか?
この発想は、最新科学技術をもつ50年後の現代でも、
多くの支持者から深く愛しつづけられています。
なぜなら、極限の山岳活動ならともかく、
通常のタウン+αの活動であれば、その天然性はきわめて快適であり、
人に対してフレンドリーであるからです。
この地球上には、科学では造る事の出来ない天然素材のもつ快適性能が数々あり、また残っています。
SIXTY FORTY FABRICもまさにその一つと言えます。
科学だけでは、造れない何かを持った素材、
Nylonの鎧をかぶったコットン SIXTY FORTY FABRICです。